老化研究に新たな道を切り開く

医学の世界で、老化ほど複雑で、かつ広範な影響を及ぼす問題はそう多くありません。老化をめぐる生物学的プロセスは、人が健康な状態でどれだけ長く生きられるかを左右することが多いのです。Calico Life Sciences では、AI/ML 責任者の Matt Onsum 氏とチーフサイエンティストの Katherine Labbé 氏が Co-Scientist を活用し、老化生物学のあちこちに散らばる研究成果をつなぎ合わせ、それを検証可能な仮説へと変えようとしています。
これは容易なことではありません。なぜなら、生物学の文献には、質にばらつきのある発見、行き止まりに終わった結果、再現できない実験結果があふれているからです。Onsum 氏によると、Co-Scientist はその科学的な判断力で Calico の専門家たちを感心させ、こうしたノイズを見抜いて、本当に探究する価値のある新しいアイデアを特定する助けになっているとのことです。
その一例が、Calico による統合ストレス応答(integrated stress response, ISR)の研究です。ISR は細胞を保護する仕組みですが、これが持続的に働き続けると、病気の一因にもなります。Calico のチームは Co-Scientist を使って、ISR が代謝によって制御されている可能性があるという、新規性がありながらも妥当な仮説を生成しました。代謝は、加齢とともに、また多くの疾患で変化することが知られています。さらに研究者たちは Co-Scientist と対話しながら、この仮説を検証するための実験設計を洗練させ、結果が出るたびに新しい情報を入力していきました。その実験からは新たな発見が生まれ、健康と疾患における ISR の役割を理解するうえで重要な意味を持つものとなり、チームはその成果を論文として発表する予定です。
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Co-Scientist を使っていて驚きとともに興奮したのは、その考え方が科学者にとても似ていることでした。科学者がすでに持っている思考や行動の仕方に、実に自然にフィットするのです。
Katherine Labbé 博士、チーフサイエンティスト
Calico Life Sciences
Co-Scientist が、私たちの周りにあるあらゆる情報を統合し、老化の謎をより深く解き明かすうえでどのように役立つのかを見て、これは自分が思いつく限りでも、最も大胆で画期的な挑戦の一つだと感じました。
Matt Onsum 博士、AI/ML 責任者
Calico Life Sciences
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